自然と人間の文化誌

宝石にはヒーリング作用があると、癒されたい現代女子は結構真剣に信じています。 じゃあ、『この石ならこういう効果がある』っていうのは、どこから得た知識?? 誕生石って誰が決めたの? 婚約指輪にダイヤモンドってなんで? そういうことも、この本には載っています。

古来、人間と鉱物の縁は深く、とりわけ宝石には不思議な力があると信じられてきました。 ローマ時代の百科事典『博物誌』にも、真剣に宝石の特徴と共に効用が載っています。

このプリニウスさんが作った『博物誌』は。 まぁ、、、ローマ時代の人が作ったものなので、現代の私達がみると『火星人はイカやタコの形をしてます』並みに変なことも書いてあるのですが(^◇^;)

全くインターネットも機械もなかった時代の著作物とは思えない出来栄えらしく。 現代日本でも、いまだにあちこちで引用されています。

まぁ、著者もはっきりしてますし。 その時代の人が、ある物に対してどう考えていたのかはよくわかりますよね。

人間、現代のように忙しく生活よりも、もっとゆったり暮らす方がずっと深く物事を考え・感じることが出来て、賢くなるものなのかもしれません。

さて。この『博物誌』。 日本語に訳した物も、やっっと出版されて、、、さぞかし翻訳者はご苦労されたことと拝察し、尊敬しきりです。 しかし。 かなり冊数がある、高価で貴重な本なので、置いてある場所は極端に限定されます。 大学図書館にも中々ないでしょうねぇ、、、 数年前に調べた時には、京都なら、府立資料館に一揃いあることを確認しています。 こんな本なので、当然貸し出しは出来ません。 そんな訳で、未だ本物の『博物誌』は読めないままなんですが。 閑話休題

あらゆる宗教・文化・民族で、宝石をもたない、使わないところはありません。 この本は、手広くあらゆるところから引用をしていて、たいへん面白かった。 ただし。 ヒーリングは好きだが由来などには全く興味がない、小難しい話はイヤだという方にはオススメしません(笑)

小難しい含蓄と、あまり聞いたことのない人名・単語が目白押しですから(笑)

エッセイ的なものを期待される方にもオススメ出来ません。 表題の通りの本です。 文化史や民俗学博物学に興味のある方には良いと思います。